【2026年12月】年末調整はここが変わる — 基礎控除62万円と特定親族特別控除

2026年9月時点の情報です。令和8年(2026年)12月1日以後に支払う給与から、所得税の計算が変わります。年末調整で使う控除額そのものが動くため、手取りにも申告書の書き方にも影響します。

変わるのは大きく4つです。基礎控除の引き上げ給与所得控除の最低保障額の引き上げ特定親族特別控除の新設、そして扶養親族の所得要件の緩和。この記事では、それぞれの金額を表で整理したうえで、自分に影響があるかを順番に確認する手順までまとめます。数字は複数の実務解説で一致しているものだけを載せ、解釈が分かれる部分はその旨を明記しました。

目次

1. 何が変わるのか — 改正点は4つ

令和8年分の年末調整で実際に効いてくる改正は、次の4点に整理できます。細かい制度改正はほかにもありますが、ほとんどの給与所得者に直接関係するのはこの4つです。

項目改正前令和8年分
基礎控除(本則)58万円62万円
給与所得控除の最低保障額65万円74万円
特定親族特別控除なし新設(19歳以上23歳未満)
扶養親族等の合計所得金額要件58万円以下62万円以下

適用時期:令和8年12月1日以後に支払う給与等(2026年9月時点)

ポイントは適用のタイミングです。毎月の源泉徴収が今すぐ変わるわけではありません。12月1日以後に支払う給与から改正後の取り扱いになるため、実質的には年末調整でまとめて精算される形になります。11月までの給与明細を見て「変わっていない」と焦る必要はありません。

もう一点。基礎控除の特例加算は令和8年分と令和9年分の2年間の措置として設けられています。恒久的な引き上げ部分(本則62万円)と、期間限定の加算部分を分けて理解しておくと、来年以降の見通しを立てやすくなります。

2. 基礎控除 58万円→62万円と特例加算

基礎控除は、所得のある人なら誰でも差し引ける控除です。この本則が58万円から62万円に引き上げられます。それに加えて、合計所得金額に応じた特例加算が上乗せされます。

合計所得金額本則特例加算合計
489万円以下62万円+42万円104万円
489万円超 655万円以下62万円+5万円67万円
655万円超62万円加算なし62万円

特例加算は令和8年分・令和9年分の措置(2026年9月時点)

表を見てわかるとおり、恩恵が最も大きいのは合計所得金額489万円以下の層です。控除が58万円から104万円へ、実に46万円分広がります。一方で655万円を超えると加算はなく、本則の4万円分だけの引き上げにとどまります。

ここでよくある誤解を一つ。「合計所得金額」は年収(額面)ではありません。給与所得者の場合は、額面から給与所得控除を差し引いた後の金額です。年収が500万円でも合計所得金額はそれより低くなるため、額面だけを見て「自分は489万円超だから加算なし」と判断すると誤ります。給与明細ではなく源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」で確認してください。

3. 給与所得控除の最低保障額 65万円→74万円

給与所得控除は、会社員にとっての「経費」にあたる控除です。収入に応じて額が決まりますが、収入が少ない人でも最低これだけは引ける、という最低保障額が定められています。これが65万円から74万円に引き上げられます。

内訳は本則69万円に特例5万円が上乗せされた形です。9万円の拡大ですから、パート・アルバイトなど給与収入が少ない層ほど影響が大きい改正といえます。

基礎控除の引き上げと合わせて考えると、いわゆる「年収の壁」の位置も動きます。給与収入だけの人が扶養に入れる上限は、123万円から136万円へ広がります。学生アルバイトや配偶者のパート収入を調整している家庭では、働ける時間が実際に増えるということです。

ここだけ押さえる
  • 基礎控除・給与所得控除の両方が同時に広がる
  • そのため扶養に入れる給与収入の上限が123万円→136万円に動く
  • 「壁」を意識して勤務時間を抑えている場合は、今年の年末までに家族で計算し直す価値がある

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4. 特定親族特別控除の新設 — 19歳以上23歳未満

今回の改正で新しく作られた控除です。対象は19歳以上23歳未満の親族、つまり大学生年代の子どもがいる世帯を想定しています。

これまでは、子どものアルバイト収入が扶養の基準を1円でも超えると、親の側の扶養控除が一気に消えていました。稼ぎが増えたのに世帯の手取りが減るという逆転が起きるため、勤務時間を意図的に抑える動きにつながっていました。特定親族特別控除は、この段差をなだらかにするための仕組みです。

項目内容
対象年齢19歳以上23歳未満
対象となる所得合計所得金額が一定の範囲にある親族
控除額所得の区分に応じて段階的に設定(最大63万円)
申告書年末調整の申告書に特定親族特別控除額欄が追加

控除額の区分は資料によって記載が分かれるため、正確な金額は国税庁の公表資料で確認してください(2026年9月時点)

注意したいのは控除額が一律ではないことです。子どもの所得がいくらかによって控除額が階段状に変わります。「63万円が必ずもらえる」わけではありません。実務解説の間でも区分の書き方に差があるため、この記事では最大額と仕組みだけを示し、区分表は載せていません。年末調整の書類が配られたら、同封される国税庁の説明を必ず読んでください。

5. 扶養親族の所得要件が緩和される

扶養控除や配偶者控除の対象になるかどうかは、その家族の合計所得金額で判定します。この基準が58万円以下から62万円以下に緩和されます。

4万円の差は小さく見えますが、判定は1円でも超えたら対象外という切り方です。ぎりぎりで外れていた家族が、今回の緩和で控除の対象に戻るケースが出てきます。

給与収入だけの家族なら、前述のとおり136万円までが目安になります。これまで123万円を意識して調整していた人は、基準そのものが動いたことを前提に計算し直す必要があります。去年と同じ感覚で勤務時間を決めると、使えるはずの控除を取り逃がします。

6. 申告書の様式が変わる — 確認の手順

制度が変われば書類も変わります。令和8年分では扶養控除等申告書の様式が変更され、源泉控除対象親族の欄が設けられます。ここに記載した親族は、毎月の給与の源泉徴収の段階から控除が反映される扱いになります。

年末調整の申告書側にも特定親族特別控除額の欄が加わります。新しい欄なので、去年の控えを見ながら同じように書き写すと空欄のまま提出してしまうおそれがあります。

自分に影響があるかどうかは、次の順番で確認するのが早いです。

確認の手順
  • 手順1:源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を見る。これが合計所得金額の目安になる
  • 手順2:その金額が489万円以下なら、基礎控除の特例加算が最大(合計104万円)になる区分
  • 手順319歳以上23歳未満の子どもがいるか確認する。いれば特定親族特別控除の検討対象
  • 手順4:家族に給与収入がある場合、その額が136万円以下かを見る。判定基準が動いている
  • 手順5:会社から配られた申告書に源泉控除対象親族特定親族特別控除額の欄があるか確かめ、空欄で出さない
やりがちな失敗

去年の申告書の控えを横に置いて同じ内容を書き写すことです。様式そのものが変わっているため、新設された欄が埋まりません。書き写すのではなく、今年の様式を上から順に読んで埋めてください。

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よくある質問

年末調整の改正はいつから適用されますか。

令和8年(2026年)12月1日以後に支払う給与等から改正後の取り扱いが適用されます。11月までの毎月の源泉徴収額は変わらないため、実質的には年末調整でまとめて精算される形になります。

基礎控除は結局いくらになりますか。

本則が58万円から62万円に引き上げられ、これに合計所得金額に応じた特例加算が上乗せされます。489万円以下なら合計104万円、489万円超655万円以下なら67万円、655万円超なら62万円です。特例加算は令和8年分と令和9年分の措置です。

扶養に入れる収入の上限はどう変わりますか。

扶養親族等の合計所得金額の要件が58万円以下から62万円以下に緩和されます。給与収入だけの場合は123万円から136万円が目安になります。判定は1円でも超えると対象外になるため、勤務時間を調整している場合は計算し直してください。

特定親族特別控除は誰が対象ですか。

19歳以上23歳未満の親族がいる世帯が対象です。控除額は親族の所得の区分に応じて段階的に決まり、一律ではありません。正確な区分と金額は国税庁の公表資料で確認してください。

申告書はどこが変わりますか。

扶養控除等申告書に源泉控除対象親族の欄が設けられ、年末調整の申告書には特定親族特別控除額の欄が追加されます。去年の控えを見ながら書き写すと新しい欄が空欄のままになるため、今年の様式を上から順に読んで記入してください。

まとめ

令和8年12月からの年末調整では、①基礎控除が本則62万円(合計所得489万円以下なら特例加算で104万円)、②給与所得控除の最低保障額が74万円、③特定親族特別控除の新設、④扶養親族の所得要件が62万円以下に緩和——この4点が変わります。

やることは単純です。源泉徴収票で自分の合計所得金額の区分を確かめ、19歳以上23歳未満の子どもがいるかを見て、配られた申告書の新しい欄を空欄で出さない。去年の控えを写すのではなく、今年の様式を読んで埋めてください。制度が動いた年は、それだけで取り逃がしを防げます。

国税庁 — 年末調整・源泉所得税に関する公表資料

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、税務・投資・法律に関する助言ではありません。制度は変更される場合がありますので、実際のご判断は上記の公式情報または専門家にご確認ください。