SSDの寿命の調べ方 — 摩耗・通電時間・温度をWindows標準コマンドで確認する3つの手順
SSDの寿命を調べたいとき、多くの記事は「何年もつか」という話から始まります。ただ、実際に手元のドライブを判断する材料になるのは年数ではなく、装置自身が報告している数値です。2026年9月時点で、Windowsには追加ソフトを入れずにその数値を取り出すコマンドが用意されています。
この記事では、Microsoft Learn に記載されている仕様だけを根拠に、SSDの健康状態を確認する手順を3つに分けて説明します。推測で補った数値は載せません。
寿命は年数ではなく、装置が報告する値で見る
SSDの状態を知るための入口は、Windows に標準で入っている Storage モジュールの PowerShell コマンドです。使うのは次の2つだけです。
- Get-PhysicalDisk — 接続されている物理ディスクの一覧と、その健康状態を返す
- Get-StorageReliabilityCounter — 指定したディスクの信頼性カウンターを返す
Microsoft Learn は後者について、返る内容を「装置の温度、エラー、摩耗、そして使用されてきた時間の長さといった情報を含む」と説明しています。つまり、寿命の判断に使う材料はここに集まっているということです。
どちらも読み取り専用のコマンドで、ディスクの内容を変更しません。順番に実行していきます。
手順1 — HealthStatus を確認する
PowerShell を開いて、まず次を実行します。
Get-PhysicalDisk
Microsoft Learn の例では、この結果が FriendlyName / CanPool / OperationalStatus / HealthStatus / Usage / Size の列で表示されます。まず見るのは HealthStatus と、一覧に出てくる FriendlyName です。FriendlyName は次の手順でディスクを指定するために使います。
HealthStatus が取りうる値は仕様上4種類です。
| 値 | 意味 |
|---|---|
| Healthy | 正常 |
| Warning | 警告 |
| Unhealthy | 異常 |
| Unknown | 不明 |
出典: Microsoft Learn「Get-PhysicalDisk」HealthStatus パラメーターの受け付ける値、2026年9月確認
ここが Healthy 以外になっているなら、細かいカウンターを見るより先にバックアップを取るほうが先です。逆に Healthy でも安心とは限らないので、次の手順に進みます。
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手順2 — 信頼性カウンターを取り出す
Microsoft Learn に載っている実行例はこの形です。
Get-PhysicalDisk -FriendlyName "PhysicalDisk8" | Get-StorageReliabilityCounter | Format-List
手順1で確認した FriendlyName を引用符の中に入れ替えて実行します。Format-List を付けているのは、項目数が多いため横並びの表では切れてしまうからです。パイプでつないでいるとおり、Get-StorageReliabilityCounter はディスクを指定して初めて動くコマンドで、単体では使いません。
出力される項目の意味
公式ドキュメントの出力例に並ぶ項目のうち、寿命の判断に関係するものを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Wear | 摩耗。SSDで最も注目される項目 |
| PowerOnHours | 通電時間 |
| Temperature / TemperatureMax | 現在の温度と、記録された最高温度 |
| ReadErrorsTotal / Corrected / Uncorrected | 読み取りエラーの合計・訂正済み・未訂正 |
| WriteErrorsTotal / Corrected / Uncorrected | 書き込みエラーの合計・訂正済み・未訂正 |
| StartStopCycleCount / Max | 起動停止回数と、その上限値 |
| LoadUnloadCycleCount / Max | ロード・アンロード回数と上限値 |
| ManufactureDate | 製造時期(例では「Year: 2011 Week: 33」の形式) |
出典: Microsoft Learn「Get-StorageReliabilityCounter」の出力例、2026年9月確認
公式の出力例では StartStopCycleCount が 80 に対して上限が 10000、LoadUnloadCycleCount が 224 に対して上限が 300000 と、実測値と上限値がセットで並びます。この「現在値と上限値のペア」という形が、寿命を読むときの基本の見方です。単独の数字だけを見ても判断できません。
Wear が空欄のままになることがある
ここが実際に一番つまずく場所です。Microsoft Learn に載っている出力例をそのまま読むと、Wear の行は値が入っておらず空欄になっています。同じ例で PowerOnHours も 0 です。
公式ドキュメントの例からしてこうなっている、という事実は知っておく価値があります。コマンドが正しく動いていても、項目が埋まるとは限らないということだからです。装置側がその値を報告しなければ、Windows 側には出しようがありません。
Wear が空欄でも、コマンドの失敗ではありません。その場合は HealthStatus とエラーカウンター、そして温度を手がかりに判断します。どうしても摩耗率が必要なら、メーカーが配布している専用ツールの値を確認するのが筋です。空欄を「摩耗ゼロ」と読み替えないでください。
手順3 — エラーカウンターの見方
エラーの項目は Total / Corrected / Uncorrected の3つに分かれています。この分け方自体が判断材料になります。
訂正済み(Corrected)は、エラーが起きたものの装置側で処理できたことを意味します。一方 未訂正(Uncorrected)は処理しきれなかったものです。読み取りと書き込みのどちらでも、この未訂正の数が増えていく状態は放置すべきではありません。
合計値だけを見て「エラーが出ている」と慌てる必要はなく、逆に「訂正されているから大丈夫」と流すのも危険です。3つの数字を並べて、内訳がどちらに寄っているかを見るのが正しい読み方です。
温度も同じ考え方で見ます。Temperature が現在値、TemperatureMax が記録上の最高値なので、今は落ち着いていても過去に高温になっていたかどうかがわかります。
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この記事で断定しなかったこと
SSDの寿命を扱う記事には、具体的な年数やTBW(総書き込み容量)の数値がよく出てきます。この記事ではそれらを載せていません。理由は単純で、Microsoft のドキュメントに書かれていない値だからです。
- SSDが何年もつか — 使い方と製品によって変わり、公式コマンドの仕様からは導けません
- Wear が何%を超えたら交換か — しきい値の基準は Microsoft Learn には示されていません
- 製品ごとのTBWや保証年数 — メーカーの仕様書で確認すべき項目です
確認できたのは、どのコマンドで何が取れて、各項目が何を指すかまでです。ここまでわかっていれば、自分のドライブの数値を見て、必要ならメーカーの仕様書と突き合わせることができます。
よくある質問
SSDの寿命を調べるのに専用ソフトは必要ですか?
Windows の Storage モジュールに含まれる Get-PhysicalDisk と Get-StorageReliabilityCounter で、健康状態・摩耗・通電時間・温度・エラー数を確認できます。Microsoft Learn によれば、後者は装置の温度、エラー、摩耗、使用時間の情報を返します。まずこの2つを試すのが早道です。
HealthStatus にはどんな値がありますか?
Healthy、Warning、Unhealthy、Unknown の4種類です。Get-PhysicalDisk の HealthStatus パラメーターが受け付ける値として公式ドキュメントに明記されています。
Wear が空欄で表示されるのはなぜですか?
装置がその値を報告していない場合、項目は空欄のままになります。Microsoft Learn の出力例でも Wear は空欄です。コマンドの失敗ではないので、HealthStatus やエラーカウンター、温度を手がかりに判断してください。
Get-StorageReliabilityCounter は単体で実行できますか?
できません。対象のディスクを指定する必要があり、公式の例でも Get-PhysicalDisk の結果をパイプで渡す形になっています。項目が多いため Format-List を付けて一覧表示するのが実用的です。
エラーの Total と Uncorrected はどちらを見ればよいですか?
両方を並べて見ます。Corrected は装置側で処理できたエラー、Uncorrected は処理しきれなかったエラーです。合計だけでは内訳がわからないため、未訂正がどれだけ含まれているかを確認してください。
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出典
Microsoft Learn · Get-StorageReliabilityCounter (Storage)
Microsoft Learn · Get-PhysicalDisk (Storage)
※本記事は2026年9月時点の Microsoft Learn の記載にもとづいて作成しています。コマンドの仕様や表示される項目は環境・OSのバージョン・装置によって異なる場合がありますので、実際の判断は上記の公式ドキュメントとメーカーの仕様書でご確認ください。