CPU温度の確認方法 — wmicが使えなくなったWindows 11での4つの手順

CPU温度の確認方法の4つの手段をまとめたカード画像

パソコンの動作が重い、ファンが急に大きな音を立てる。そんなときにまず見たいのがCPU温度です。この記事は2026年10月時点の手順をまとめたものです。Windows 11では以前よく紹介されていたwmicコマンドが使えなくなっているため、現在有効な4つの方法に整理しました。

標準機能だけで見るならPowerShellとパフォーマンスモニター、コアごとの値まで見たいならUEFIか専用ソフトです。あわせて、表示された数値が「CPUそのものの温度」とは限らない理由も説明します。ここを知らないと数値を見ても判断を誤ります。

目次

wmicコマンドはもう使えない

コマンドプロンプトでwmicを叩く方法が長く紹介されてきました。いま試して「コマンドが見つかりません」と返る場合、設定の問題ではありません。そのコマンド自体がWindowsから外されています。

マイクロソフトの公式ドキュメントは、WMICユーティリティ(wmic.exe)がWindows 10バージョン21H1の時点で非推奨になったと明記し、代わりにWMIを扱うWindows PowerShellを案内しています。

さらに踏み込んだ変更もあります。公式ドキュメントによれば、2026年8月以降、Windows 11のバージョン24H2と25H2にはWMICが同梱されません。オプション機能(Feature on Demand)として後から追加し直すこともできず、これらのバージョンの新規インストールでは既定で削除された状態になっています。

補足すると、廃止されたのはコマンドラインツールであるWMICだけで、土台のWMI(Windows Management Instrumentation)は影響を受けません。温度を取り出す仕組みは残り、呼び出す道具だけが変わったということです。だから次の手順がそのまま代わりになります。

手順1 — PowerShellで取得する

いちばん手早いのがPowerShellです。スタートボタンを右クリックしてターミナル(またはWindows PowerShell)を管理者として開きます。管理者でないと値が返らないことがあります。

そのままの数値を見る

次の1行を貼り付けて実行します。

Get-CimInstance -Namespace root/wmi -ClassName MSAcpi_ThermalZoneTemperature | Select-Object InstanceName, CurrentTemperature

表示されたCurrentTemperatureは見慣れない大きな数字になっているはずです。3000台の値が出ても故障ではありません。単位が摂氏ではないからです。

摂氏に直して見る

マイクロソフトの仕様では、この値は10分の1度ケルビン単位で返されます。10で割ってから摂氏に換算します。計算まで含めたのが次のコマンドです。

Get-CimInstance -Namespace root/wmi -ClassName MSAcpi_ThermalZoneTemperature | Select-Object InstanceName, @{n='TempC';e={[math]::Round($_.CurrentTemperature/10-273.15,1)}}

これで摂氏の値が並びます。InstanceNameが複数行出るのは測定箇所が複数あるという意味です。どれがCPUなのかは後半で説明します。

手順2 — パフォーマンスモニターで見続ける

PowerShellはその瞬間の値しか返しません。負荷時にどこまで上がるかを追うなら、Windows標準のパフォーマンスモニターが向いています。

「Windowsキー + R」でperfmonと入力して起動し、左のツリーからパフォーマンスモニターを選びます。グラフ上のプラスボタンでカウンター追加画面を開き、Thermal Zone Informationの中の温度の項目を追加します。

ここで表示される値もケルビン系です。縦軸が300前後で動いていても異常ではありません。変化の幅だけを見る使い方が現実的で、ゲームや動画の書き出しを走らせながら眺めると、上がり方が落ち着いているか短時間で跳ね上がるかがわかります。

利点はソフトを入れずに経過を追えること、弱点はコアごとの内訳が出ないことです。

4つの方法の比較

方法 追加ソフト コアごと 向いている場面
PowerShell不要不可いまの値をすぐ知りたい
パフォーマンスモニター不要不可負荷中の推移を追う
UEFI不要環境により異なるOS側を疑いたいとき
専用ソフト必要可能コアごとに切り分ける

単位と測定箇所の扱いはMicrosoft Learnの記載に基づく(2026年10月時点)

手順3 — UEFIで見る

Windows上の数値が怪しいときは、OSを通さずに見られます。UEFI(BIOS設定画面)です。電源を入れた直後に特定のキーを押して入りますが、そのキーはメーカーや機種ごとに違います。機種の説明書かメーカーのサポートページで確認してください。

ハードウェアモニターや状態表示の項目にCPU温度が出ています。常駐ソフトが動いていない、アイドルに近い条件での温度です。

使いどころは切り分けです。Windows上では高いのにUEFIでは落ち着いているなら、原因は常駐ソフトやバックグラウンド処理の側にあります。逆にUEFIでも高いままなら、ほこり・ファン・グリス・ケース内の空気の流れを疑う順番になります。

あわせて読みたい:グラフィックカード温度を下げる10の実践テクニック – クーリング・電力・ケース設計まで総まとめ

手順4 — 専用ソフトでコアごとに見る

CPUには複数のコアがあり、負荷のかかり方も違います。1つのコアだけ突出して熱いのか全体が均等に上がっているのかは標準機能では見えません。ここを見たいときは専用ソフトを使います。Core TempやHWMonitorのような温度監視ソフトが定番です。

選ぶときは配布元の公式サイトからダウンロードすることだけは守ってください。まとめサイト経由の配布で余計なものが同梱されることがあります。切り分けが終わったら外しておくほうが軽いままです。

なお「何度までなら大丈夫か」はCPUの世代や型番ごとに決まっています。一般論の数字は当てにならないので、IntelまたはAMDの公式製品仕様ページで自分の型番の上限を確認してください。

あわせて読みたい:SSDの寿命の調べ方 — 摩耗・通電時間・温度をWindows標準コマンドで確認する3つの手順

その数値は「CPUそのもの」ではないことがある

ここがいちばん誤解されている点です。PowerShellやパフォーマンスモニターが読むのはサーマルゾーン(thermal zone)の温度で、「CPUのダイの温度」と書かれているわけではありません。

マイクロソフトのドライバー向けドキュメントは、ACPIがプラットフォームをサーマルゾーンと呼ばれる領域に分割できる仕組みだと説明し、各ゾーンの温度はセンサーデバイスが追跡するとしています。つまりゾーンの区切り方はメーカー側が決めています。

そのためCPUの温度とほぼ一致する機種もあれば、CPU周辺をまとめた領域の温度が返る機種もあります。どのゾーンが何を指すかは値そのものからは判別できません。

実用的な結論はこうです。標準機能の数値は「上がっているかどうか」を見る指標として使う。絶対値で判断したいならコアごとの値を出せる専用ソフトかUEFIの表示と見比べる。

値が取得できないときに見る場所

PowerShellを実行しても何も返らない、あるいはエラーになることがあります。順番に当たります。

確認する順番
  • ターミナルを管理者として開き直す
  • 名前空間の指定が root/wmi になっているか見直す
  • 空の結果が返る場合は、その機種のファームウェアがこのクラスに値を公開していない可能性がある
  • その場合は標準機能にこだわらず、UEFIか専用ソフトに切り替える
  • wmicで試していたなら、PowerShellの手順に置き換える
空の結果は故障のサインではありません

このクラスから値が返るかどうかは、メーカーのファームウェアがそれを公開しているかに左右されます。返らない機種でパソコンが壊れているわけではないので、測り方を変えるだけで十分です。

よくある質問

wmicコマンドはもう完全に使えないのですか

公式ドキュメントでは、WMICはWindows 10バージョン21H1で非推奨とされ、2026年8月以降のWindows 11バージョン24H2と25H2には同梱されません。オプション機能として追加し直すこともできません。WMI自体は残るため、PowerShellで同じ情報を取得できます。

CurrentTemperatureの数値が3000台になるのはなぜですか

単位が摂氏ではなく10分の1度ケルビンだからです。10で割ってから273.15を引くと摂氏になります。記事内の2つめのコマンドはこの計算を含めています。

何度を超えたら危険だと判断すればよいですか

上限値はCPUの型番ごとに異なるため、一律の目安では判断できません。IntelまたはAMDの公式製品仕様ページで、使っているCPUの上限を確認してください。

表示されるサーマルゾーンが複数あるのはどれを見ればよいですか

サーマルゾーンはACPIがプラットフォームを分割した領域で、区切り方はメーカーが決めています。値だけでは箇所を判別できないため、専用ソフトやUEFIの表示と見比べてください。

専用ソフトを入れずに済ませられますか

いまの値を知るだけならPowerShell、負荷中の推移を追うだけならパフォーマンスモニターで足ります。コアごとの内訳が必要になったときだけ専用ソフトを検討してください。

まとめ

CPU温度の確認方法はwmicが外されたことで入口が変わりました。標準機能ならPowerShellのGet-CimInstanceで今の値、パフォーマンスモニターで負荷中の推移。確度を上げたいならUEFIか専用ソフトです。返るのはサーマルゾーンの温度なので、絶対値を信じ込まず変化を見る指標として使い、必要なときだけコアごとの値と突き合わせる。これがいちばん誤判断の少ない順番です。

Microsoft Learn · WMIC(非推奨および同梱終了について)

Microsoft Learn · IOCTL_THERMAL_READ_TEMPERATURE(温度の単位)

Microsoft Learn · Device-Level Thermal Management(サーマルゾーン)